会議コンセプト「私の棒引き」
突然ですが、皆さん、「棒引き」という体育祭の種目をご存じでしょうか。相対する二つのチームが、複数の棒を取り合い、より多くの棒を獲得した方のチームが勝利するというものです。この「棒引き」の戦い方として、「棒を引く力が強い者が勝つ」「先手をうった側が勝つ」「どの棒を死守し、どの棒を捨てるかを描けている側が勝つ」など、様々な勝ち筋が提唱されることがあります。私はこの棒引きという競技に中高時代6年間連続で出場しており、今では懐かしい思い出なのですが、それはともかく、この棒引きという競技に、会議の交渉のヒントがあるのではないかと思いました。そして、それを更に発展させたような会議はできないだろうか、というのが、今回会議を作る私の趣旨です。
そのための会議設計のテーマは、いくつかあります。まず第一に、「そもそも腰を据えて棒引きを行える環境を創出すること」です。模擬国連の会議では、会議時間の短さと成果を創出する必要性、更には論点の広さなどから、十分な討議・交渉が行われたとは言い難い状況下での多数派による多数決の押し切りがしばしば見受けられます。それ自体が悪いこととは限りませんが、今回はそのような事態を最小限にするために、「バランスの良い国割」「コンセンサス会議」「争点化を既にすませた成果文書案」など、いくつかの要素を用意しています。
第二のテーマは、「棒引きを可能にする、争点の広さ」です。「いつ、どの譲歩カードを切るのか」、難しい問題ですよね。今回はそんな交渉の醍醐味を味わってもらいたいと考えています。なお、原則ペアデリとしているのもこのためです。各国の最終的な合意に至るまでに戦い方が問われるでしょう!
ここまで、棒引きを創設するための会議設計についてお話しましたが、今回の棒引きはただの棒引きではありません。「私の棒引き」なのです。すなわち、通常の棒引きは、相手チームと味方チームの対決ですが、今回はそこまで単純ではありません。東側、西側陣営の他に、第三のNN陣営が存在します。更に、同じ陣営内も、特に西側とNNを中心にスタンスはバラバラです。グループとしての行動をする場合には、グループ内での棒引きをする必要もあるでしょう。内でも外でも交渉が必要とされる、まさに自国にとっての複合的な棒引きなのです。